2022年2月15日火曜日

桃生の山内首藤氏と七尾城

  NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に相模の有力武士として山内首藤経俊が登場している。経俊は源頼朝の奥州征伐に従い、戦後の軍功として桃生郡の地頭職を受けたとされる。山内首藤氏は、牡鹿湊を拠点していた葛西氏と戦って敗れるまで約300年もの間、桃生郡を治めたことになる。最初は代官による治世だったようだが、のちに山内首藤氏の庶系が入り、奥州の豪族として成長する。桃生・山内首藤氏の居城が石巻市中野にあった七尾城だ。

            北上川対岸から七尾城跡を望む

2022年2月5日土曜日

専称廃寺跡の謎

 石巻市湊鹿妻山の菅原神社境内に専称廃寺跡板碑群がある。鹿妻小学校の北側で少々分かりにくいのだが、住宅地を抜けた山裾に神社を発見。神社裏側に37基の板碑がまとまって保存されている。特に仏や菩薩の称号を刻む名号板碑が32基もあるのが特徴だ。かつてここに時宗寺院が存在し、葛西氏とともに登米に移転したとみられる。ところが、登米の専称寺や時宗本山の清浄光寺(藤沢市)に石巻・専称寺の記録がなく、葛西氏の菩提寺説も今のところ否定的になっている。


2022年2月3日木曜日

多福院の板碑群と葛西氏

  石巻市吉野町1丁目の日輪山多福院には、93基(「石巻の歴史」による。平成30年、石巻市教委が設置した現地案内板には88基)の中世板碑が確認されている。後醍醐天皇を供養する「吉野先帝御菩提碑」は特に珍しく有名だ。板碑の中には、葛西氏と関係深いものが複数あり貴重な葛西史料にもなっている。隣には伊達家臣・笹町氏が創建した慈恩院、護良親王伝説が残る一皇子神社も近く、歴史散歩には絶好のスポットだ。